日本ボードゲーム大賞2005 全ノミネート作品
海外ゲーム・入門者部門(10ノミネート)
|
|
海外ゲーム・フリーク部門(16ノミネート)
|
|
国産ゲーム部門(7ノミネート)
|
|
子どもゲーム部門(8ノミネート)
|
|
凡例:
・邦題(国内で販売されている名前、五十音順)
原題(ドイツ語または英語)/デザイナー名/メーカー名
ゲーム紹介とノミネート理由
〈海外ゲーム・入門者部門〉
〜ルールが比較的易しく、ボードゲーム経験の有無を問わずすぐに楽しめる新作ゲーム〜
ウィング・オブ・ウォー
ボードを空に見立て、実際にカードの位置を動かしながら飛行機で戦闘するカードゲーム。視覚的に分かりやすく、少年時代のわくわく感を呼び覚まします。飛行機の性能の違い、タッグ戦、2つの拡張セットなど、奥も深いので何回も遊びたくなるでしょう。
ウボンゴ
決められたパーツをマスにきっちり収めて、宝石を獲得するボードゲーム。マスを埋めるという人間のパズル欲求をうまくゲーム化しています。また宝石集めにはゲーム性もあります。見た目の判りやすさとハンデを付けやすいシステムも入門者に薦めやすい点です。
カーケラーケンポーカー/ごきぶりポーカー/ゴキブリポーカー
みんなの嫌われ者であるゴキブリ、ネズミなどをウソをついて押し付けあうカードゲーム。だましのポイントが理解しやすく、ブラフ系のゲームとしては簡単な部類で、勧めやすいゲームです。
勝利への道
サイコロでコマを進めながら、マイナスを取らないようにするタイルゲーム。すごろく系の出色作です。ルールは簡単ながら適度に考えさせるルールであり、入門ゲームとしてお勧めです。行動の選択肢も多くなく、テンポ良く進むのが良いです。
ダイヤモンド
危険がいっぱいのダイヤモンド鉱山を探検してたくさんのダイヤを持ち帰るカードゲーム。ルールが簡単なため低年齢からでも遊べますし、多様な人数にも対応しています。性格がよく表れる点と興奮度の高さ、そしてゲーム展開に変化があるところも魅力です。
ナイアガラ
流れが不安定な川を船で上り下りして、滝に落ちないように気をつけながら宝石を集めてくるボードゲーム。コーポネント、特に滝のメカニズムが素晴らしく一目で惹きつけられます。テーマも判りやすくいです。読みと計算も必要で、駆け引きの醍醐味もあります。
ハチャメチャ焼きイモムシ屋さん/ヘックメック
ダイスで高い目を出して、ニワトリのためによりたくさんのイモムシを集めるダイスゲーム。盛り上がりどころを押さえつつ、随所に工夫されています。ルールもコンポーネントもシンプルにまとめられています。
ピラニアペドロ
右往左往するペドロ君を操って、海に落ちたりピラニアに食べられないようにするボードゲーム。手軽に遊べる心理ゲームです。コンポーネントも美しく、ルールも簡単。お互いの考えや気持ちを探りあう感覚の良さと、コミカルな展開に笑いが生まれるゲームです。
フィヨルド
未知の土地を探検して、相手より広い土地を手に入れるタイルゲーム。2人用のゲームとして運が程よく入ってうまくまとまっています。先を読む計画性と思い切った判断が試される良作。
フリックスミックス
リアルタイムで同じパターンの色を配置していくカードゲーム。誰でも即座にルールが理解できる明快さ・手軽さが素晴らしい。色鮮やかで、ちょっとパズル風味にスピード感のある本作は、ゲームに慣れていない人もすぐに楽しめます。
〈海外ゲーム・フリーク部門〉
〜より発展的な内容で、数多くのボードゲームを遍歴してきた愛好者が楽しめる新作ゲーム〜
イス
フランスの港町イスを舞台に、宝石商人となって勢力を争うボードゲーム。複数の要素がからみ合い、参加者同士の駆け引き・関わり合いが大きく、ツボを押さえた作品です。勝利ポイントの入り方を複雑にして多様性が生まれており、繰り返し遊んでも楽しめます。
ウォー・オブ・ザ・リング/指輪戦争
自由の民と闇の勢力が軍勢を率いて戦う2人用ボードゲーム。ファンの多い原作『指輪物語』の世界を堂々と表現した大作です。かなりの重量級ですが、戦略的な幅も広く、長く楽しめる作品でしょう。国際ゲーマーズ賞2人用大賞を受賞しています。
オーストラリア
オーストラリア大陸を、環境に配慮しながら開発するボードゲーム。ボード上がダイナミックに変化しながら、次々に得点計算が発生する動的な部分が好印象。少ない選択肢をどう生かすか戦略眼が試されます。
丘の上の裏切者の館
古い屋敷に迷い込んだ主人公たちが、恐ろしいイベントを乗り越えていくボードゲーム。多人数複数シナリオを搭載しており、遊ぶたびに違う展開が待っています。ホラーの雰囲気もよく出ています。
オルトレマーレ
地中海の商人たちが、船で交易をして儲けを競うボードゲーム。交渉の楽しさと手札の集め方・出し方を考えさせる戦略性が見事に融合しています。システムの完成度の高さが印象的です。
キャメロットを覆う影/シャドウズ・オーバー・キャメロット
アーサー王物語をテーマに、協力して悪の勢力に立ち向かうボードゲーム。各自が登場人物になった気分が味わえます。全員の一体感あふれる協力と、思わぬ裏切りの感覚が新鮮です。途中膠着する場合もありますが、それを上回る魅力がある作品です。
クレタ
クレタ島を舞台に、手下をうまく配置して得点を獲得するボードゲーム。動きの違うコマをいかにしてエリアに集結させるか、あるいは分散させるかというパズルのような楽しさがあります。ルールは少ないのに毎回変わる展開の豊富さは、繰り返し遊ぶに値します。
皇帝の影
神聖ローマ帝国を舞台に、貴族たちが皇帝の座を狙って権力を争うボードゲーム。二重構造のパワーゲームに、行動選択の悩ましさと歴史的な味つけが高度にマッチしています。反逆が起きると皇帝選出フェイズで盛り上がるでしょう。
ザバンドールの笏/セプター・オブ・ツァバンドール
魔法使いの弟子が成長しながら魔力を身につけ、伝説の王笏を求めるボードゲーム。どの能力を育て、どのアイテムを競り落とすか、作戦が立てやすく戦略の練りがいがありそうな作品です。魔術師になるゲームですが経営がテーマと考えることもできます。
ジャンボ
アフリカで商人が上手な売買によって相手より多い金塊を集める2人用カードゲーム。さまざまな効果のあるカードは種類は多いものの、基本ルールはシンプル。様々な展開・駆け引きがあり、時間も手ごろです。
乗車券:ヨーロッパ/チケットtoライド:ヨーロッパ
カードに指定された都市をチケットを出して旅行するボードゲーム。前作で有効とされた「ひたすらカードをため込む」行為が起きづらいなど改善点が多く見られ、より楽しくなりました。トンネルや駅などの新ルールも効果的で楽しめます。
バベルの塔
時に争い、時に協力しながら、世界の七不思議を建築していくボードゲーム。競り落とすか、競り落とさずに得をするか、駆け引きは高度で、何度か遊ぶうちに味わいの深さが見えてくる作品です。
ヒマラヤ
ヒマラヤの山村を交易して回りながら勢力を伸ばすボードゲーム。自分の動きを計算するだけでなく、他者の動きを予測していく思惑の交錯にしびれます。ルールは少ないわりに足切りのある勝利条件が斬新で、同時プロットとともに楽しめる作品です。
ブームタウン
ゴールドラッシュにわく西部アメリカを舞台に、鉱山を掘って金塊を集めるカードゲーム。独特の競りシステムとダイス運と特殊能力で、遊んだ気にさせる手ごたえがあります。現実にもリスキーであろう金鉱開発のテーマにしっくりくるルールです。
マニラ
品物を積んだ船の動向を予想してお金を儲けるボードゲーム。状況が変わるたびに変動する確率をどう捉えるかが悩ましく、一喜一憂しながら運を楽しめるゲームです。盛り上げ方が秀逸で、サイコロと賭けの楽しさを上級者にも思い出させてくれます。
ルイ14世
ベルサイユ宮殿を舞台に、貴族に取り入って名声を築くボードゲーム。適度に運の要素があり、周囲との関わりも大きく、状況に合わせて選択肢を取り分けられる奥深い戦略の厚みがあります。斜めに並んだタイルにコマを配置する新鮮なデザインも目を引きます。
〈国産ゲーム部門〉
〜日本語パッケージで一般発売されたもので面白い新作ゲーム。
箱、ルール、コンポーネントの全てが日本語であれば原産国を問いません〜
キュージェット
近未来で行われるジェットレースのボードゲーム。15年以上前に発売され、絶版になって久しい『アベ・カエサル』のリメイクで、完全に日本語化されて遊びやすく入手しやすくなりました。相手を妨害しながら狭い小道を走り抜けていく愉快さは健在です。
瞬間決着ゲーム シンペイ
交互にコマを動かして3つを1列に並べる2人用ボードゲーム。シンプルなアブストラクトゲームですが、意外性のある展開もあります。コンポーネントの作りはしっかりしていて美しく、子どもにも十分楽しめます。
トリンカ
4枚のカードで和差積商を完成させるカードゲーム。独創性、コンポーネントの使い勝手のよさと工夫、値段の手ごろさ、本屋で買える流通の強さなど、いずれも評価できます。麻雀のような待ちの楽しさもあります。
フラックス
出されたカードにルールが指示され、ルールがどんどん変わっていくカードゲーム。従来のゲームの観念を覆す新趣向で、ゲーム中たくさんの驚きがあります。ルール説明なしですぐに始められる点が大きな利点です。
ブロックス・デュオ
ブロックをボードに配置する名作の2人専用版。狭いボードで自陣を争うため、よりシビアに真剣勝負ができるようになりました。サイズがやや縮小され、持ち運びやすくなったのもよい点です。
POTATOでチョ!
自分の指を使って、ポテトチップを確保するパーティーゲーム。シンプルながら独特の雰囲気があってゲーム中にたくさんの笑いがあります。心理戦のゲームとしてシステムがしっかりしています。
妖精奇譚
ドラフトでカードを整えて、組み合わせを競うカードゲーム。行動を同時に決定するスタンドアローンとしては世界的にも新機軸です。手軽で時間が短いので、何度も遊ぶ気になります。
〈子どもゲーム部門〉
〜8歳くらいまでの子どもが誰でも理解でき、かつ大人も一緒に楽しめる新作ゲーム〜
グッドフレンズ/みんなともだち
池に浮かんだ蓮の葉の上でカエルたちが繰り広げるレースゲーム。同じマスに止まると握手をしてどちらもお金がもらえるというルールが、スキンシップと和やかな雰囲気をもたらします。
くるりんモグラ
もぐらを動かして、カードに書かれた組み合わせにするボードゲーム。ボードの仕掛けに加えて、記憶とパズルの両方の楽しみがあり、子どもが夢中になれます。6人まで遊べますが、2,3人でも十分楽しめるのもよいところです。
しろくま父さん
こぐまをお風呂まで連れて行くタイルゲーム。プレイ時間も短くさいころを振るだけのシンプルな作りですが、いつやめるのかという勝敗に結びつく判断をしなければならないことが子どもの成長を促すでしょう。
水晶をとりもどせ!
魔女に捕まらないようにしながら、水晶を持ち帰るボードゲーム。ルールややや多めながら視覚的に分かりやすく、助け合いも必要になる点や、最後までドキドキを維持できる点、適度に頭を使う点など、よくできています。
スノルタ
動物の鳴き声をいち早く言う反射神経が試されるカードゲーム。下手な大人よりも子どもが強い可能性があり、また賑やかに盛り上がれる点も評価できます。声を実際に出すというのも大きな魅力です。
ドクロと宝箱
迷路の地図を見て、いくつ宝が取れるかを瞬時に把握するゲーム。認識ゲームの新たな実現技法を提案しました。ルールが判りやすく、小さい子でもすぐに夢中になることができます。
ピック・ア・ディリー
他の誰かの雄鶏を指名しながら、卵を増やすゲーム。単純な構造ながら、自分だけのことを考えていては勝てないというシステムは面白く、誰が誰を指名するか考えながら遊ぶ心理戦も楽しめます。
ワニに乗る?
7種類の動物の木のコマを、ワニの上に乗せていくバランスゲーム。くにゃくにゃの蛇、もこもこの羊など、かたちの異なる動物コマはどれも独特で、美しくできあがっていて、積み重ねた様子は圧巻です。
(選考過程について)
今年はゆうもあのスタッフから構成された12名の選考委員が主体となってノミネートを決定しました。2005年10月の時点で、選考委員が今年注目されたゲームを取り上げ、それについて個々に評価を行いました。この結果に加えて、一般スタッフから集められた推薦とショップから提供していただいた売れ筋情報も考慮し、ボーダーラインの調整や複数部門にまたがる重複ノミネートの解決を協議しました。
最終的には一般投票で決まる賞であることを銘記し、できるだけ分かりやすく、投票しやすいリスト作りを進めるとともに、選考委員が自信をもってお勧めできるゲームだけを厳選して、ひとつひとつにノミネート理由を付しました。性別・年代・居住地を問わず幅広い方々からの投票をお願いします。発表は2月の予定。